スタートレック・ネメシス

『スタートレック・ネメシス』
ST10


【総論】

シリーズ中もっとも暗いタッチの作品で、今のところTNGの最終エピソード。
僕としては、映画公開初日に一回観て以来、DVD購入まで「全く」観たいと思わなかった唯一の作品。(前作「叛乱」だって、それなりに待ち遠しかったのに。...)
良かったのは冒頭の結婚式のシーンくらいかなぁ。...一部の戦闘シーンは確かに迫力があったけど、「シリーズ最高の戦闘シーン」なんて宣伝するほどのものではなかった。DS9の方が遙かにすごいものなぁ。...
舞台裏の情報を見る限りでは、脚本はよく練られているようだ。「もう一人の自分との対峙」というテーマはとても深いし、スタートレックらしい。となると、やっぱり監督がスタートレック世界を軽んじたせいなんだろうか?

僕たちはたぶん、斬新な「スタートレック」なんて求めていないのだ。作品に出てくるキャラクター達に感じるのは家族や友人のような気持ちだし、映画や新作で住み慣れた未来に帰りたいだけなのだ。ベアード監督は一般客に向けて「スタートレック」を派手なSFアクション映画に変質しようとしたようだが、それならあんな重いテーマは邪魔なだけで、結局「なにやら真面目でとっつき辛い」スタートレックの印象がついてきてしまう。第一ムードがやたらと暗いじゃないか。ファンと一般客のどちらも満足できない、中途半端な映画になってしまったということだろう。

つまるところ、前作の低調で制作者が「スタートレック」に自信を持てなくなったのが根本の原因かもしれない。もともと、エピソードを重ねてじわじわとハマらせるタイプのシリーズなんだから、変に一般化しようとしないで、堂々と世界を紡いでいきましょうよ。...


【この作品のポイント】

☆データ(ブレント・スパイナー)の歌う「ブルースカイ」最高! あのわけのわからない車のシーンをカットしていいから、フルサイズで聴きたかった!

☆モニターに登場したジェインウェイ"提督"。おそらくファンの誰もが納得しない艦隊人事。(笑) 確かに7年間のデルタ領域航行はカーク船長の記録を超える難事業として賞賛に値するけど、やはり反則は反則なわけで...。

☆で、U.S.S.ヴォイジャーは誰が引き継いだんだろう? あの面々に今さら外から艦長を招いてもやりにくいだろうし、やはりチャコティ昇格か? で、深宇宙から脅威が迫ると、ジェインウェイ提督がシャトルで乗り込んできて、指揮権を奪うに違いない。あ、そっか、エンタープライズが無事に逃げてきた時がチャンスだったのか! どうりで艦隊を変なエリアに集めていると思った。

☆ピカードはいつになったら提督に昇進するのだろうか? おそらく艦隊司令部からの打診を相変わらず断っているに違いない。そりゃあ、「もうしばらく散歩していたい」のは解る。カークの助言を聞いて『だよねぇ、やっぱり!』と意を強くしたのも解る。でもね、昔(23世紀)から艦隊司令部の提督陣は人材不足なんだから! 最近(24世紀)も1~2名を除いてろくな人材がいないし、あなたが改革しなくて誰がする?!と言いたい。だってジェインウェイには期待できないし...(あわわ^^;)。

☆エンタープライズEのジェフリーチューブ内に残る、ボーグテクノロジーの痕跡(としか思えない、ジャバラチューブ状のパネル)。たぶん、「ファースト・コンタクト」で同化されたものが思いの外効率的だったので、惜しかったんだろうなあ。ジェインウェイ提督の入れ知恵の疑いもありますな。(U.S.S.ヴォイジャーもそうだから。)

☆遮蔽(透明化)したまま攻撃してくるシミターと戦うエンタープライズE。ライカーが指示する「戦術パターン、カーク・イプシロン!」はやっぱりシビれますなぁ。「スタートレック6」で描かれた、遮蔽されたバード・オブ・プレイとエンタープライズAの戦闘記録が艦隊マニュアルにフィードバックされているんだろうなぁ..と、こういう想像を楽しめるのがスタートレックの良いところだ。多方向に同時にフェイザーを撃って、当たったポイントに光子魚雷を打ち込むシーンはカッコ良かった! ほとんどはずれてたけど...。

☆ロミュランの女性指揮官に一言言いたい。ピカードに「終わったら一杯ごちそうする」と言われて「ロミュランエールをお願いします」....って、ロミュラン帝国には銘柄というものがないのか?(※) いわば「地球ビール」って言っているのと同じだぞ? だいたい、ああいう時は儀礼上「地球のおいしいお酒を期待しますよ」くらい言うべきだ。(無礼講で呑んで浮かれようという意味なんだろうけど。)
いずれにしても、注文はお店に行ってからにしてください。

☆削除シーンに出てきた、ピカード艦長の新しいキャプテンズチェア。あれはいけませんな。長年ファンから突っ込まれてきたのに、今頃になってシートベルトを装備しないでください。(笑) それからあの新副長さん、登場シーンを丸ごと削除されちゃったけど、次回作が作られる場合は設定上どうなるんだろう? ぱっとしない人だったからなぁ。まるっきりなかったことになって、別の人が出てきたりして?

※実は単にラスベガスヒルトンで飲む約束だったりして..  →これ


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